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究極の冬囲い(十勝ヒルズの越冬対策)(1)

 

各地でご当地の自然環境のもとで、耐寒性の劣る植物を健全に越冬させるために、様々な試みがなされています。しかし私たちは気象条件を制御することは出来ないので、健全に越冬させる確率をいかに高めるかが課題となります。たまたま同じ時期に北海道の「東」と「西」で、事業形態、バラの種類、気候に違いこそあれ、依頼された方がバラに挑戦することになりました。

 

理に叶った技術開発のお手本

その中で岩見沢よりはるかに厳しい自然環境(厳寒・少雪)の十勝管内幕別町日新地区。ここにある大型ガーデン・十勝ヒルズを指導されたのが、緑花計画を経営する笠(りゅう)氏。そのなかにあるバラ園を当初の不具合を克服し、それまで培ってきた技術力によって2016年のグランドオープンに間に合わせました。高い見識、判断力を持った指導者と熱心な関係者の皆さんとのチームワークによって、短期間で生み出されたことに敬意を表します。

 

 

十勝ヒルズはすべてイングリッシュローズとのこと

厳寒の地でこのバラを見られるとは驚きでした(2016.7.9)

 

笠氏は実践に基づく幅広い知識と経験の持ち主で、自らもはさみとスコップを手にする実践派でもあります。劣悪な環境での緑化指導ほか大規模な公園の設計・監修・指導など実績は数えきれません。詳しいことは笠氏が運営されているこちらのサイトをご覧いただければご理解頂けると思います。

 

似て非なる考え方

従来、道内の園芸業界では、園芸家の講習や園芸誌の投稿記事は、判を押したように

 

「冬囲いをするとき、春先に「蒸れる」ので、上部と下部に隙間を空けて通気性を保つこと」

(当サイトではこの方法を「開放型」と呼んでいます)

 

こう言っておけば無難といったレベルの話がほとんどなのですが、その影響を受け、プロ・アマ問わず、この「開放型」で対応しているといって過言ではありません。

 

上は開放型で、株元は構造上湿ったチップ?で覆われています

 

2017年当時は、こんな開放型で・・・

 

しかし十勝ヒルズ方式の特徴のひとつは、そのような不確かな情報に惑わされることなく、当初から外気を完全に遮断した「密閉型」の冬囲いを採用されました。当然「開放型」に比べ、囲い内部の温度が明らかに優位となり、最も基本となる手法となります(詳細は後日のブログ記事で)。もうひとつの特徴は、囲い内部を乾燥したチップなどで充填したことです。これによって内部の過湿を防ぐ効果が向上しています。したがって「蒸れる」といった話はないとのことです。

 

笠氏によれば、この手法は道東のように厳寒・少雪地域を対象としているとのことです。より温暖地域においても、相対的に耐寒性が劣る種類に対しては「十勝ヒルズ方式」が期待できそうですね。

 

水を透過させない素材を外側に採用されました。蒸れることを恐れた方にはハードルが高い方法

(材質、厚さ云々は亜流的な話になります)

 

 

チップを充填する容器ですが現在はプラスチック製の網に変更されています

 

また、「融雪期に囲い内部の温度が上昇し、湿度も高くなって蒸れる」と思われがちですが、囲い内部は外気より低く、吸湿性の高いむしろ、ワラなどを使わない材料を使うことで、解消することがすでに実証されています。また春先に充填材の撤去作業が順調にできるように工夫されているそうです。

 

「開放型」の欠点と問題点

「開放型」では、内部に雪や雨、湿気が入り込むので、充填材料を湿らせて様々な障害を招く恐れがあります。

例えば、春先に湿った充填材を取り除いたことで、幹枝の表面が外気や風によって急激に乾燥し、寒風害を受けたときと同じ被害を受けることがあります。また、その障害を防ごうとして余計な工程が増えることでコストアップに繋がる可能性があります。

 

次回は笠氏の卓越した姿勢と取り組みについて,私の感じたことをお伝えします。

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もうひとつの越冬対策

 道内の緑化・園芸生産業界では皆さん様々な工夫をして、冬の収入減に対応しています。私たちも同じで、春に向けての仕込み、冬山造材、除雪の請負のほか、新しい挑戦をしたことを思い出します。2003年の秋遅く、お得意様より、店先で販売するバラを供給するのでポット入れして、販売時期まで養生してもらえないかという相談がありました。

 

 

 そこで、見かけ重視ではなく出来るだけ芽吹きさせない状態の苗を提供し、消費者の不安を解消すべきとの考えを伝えたところ快諾していただきました。ビニールハウスは加温・促成栽培するための施設という概念を払拭。まだ寒さの厳しい3月の安平町で無加温で養生することになったのです。いつもは降雪・積雪が少ないのですが、豪雪に冷や汗をかいた年もあり、従業員の努力のおかげで無事に乗り切ることができました。多分この試みは業界では初めてだったと思います。これから数年して、あちらこちらの取引先、園芸屋さんでこの方法が普及していったようです。

 

 

 2004年以降、11年間(たぶん)トラブルなく出荷でき、お陰さまで従業員の給料、経費が捻出できたことに感謝した次第です。これまでバラ以外の輸入苗をポット入れしてノウハウを身につけましたが、実は根の粗いバラが最も簡単でしたね。

 

入荷した輸入苗の状態

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ネズミ、ウサギの食害から守る(1)

 北国の冬は寒さ厳しく長いので、主に植物を糧としているシカ、ウサギ、ネズミは森林だけでなく、越冬させる植物の苗畑やガーデンそして私たちの庭にも出没する嫌われ者。どうやって被害を防ぐかは決め手を欠くこともあるのですが、今まで実践して効果のあった方法をいくつかご紹介します。

 

 

 一番困るのは幹の地際から樹皮を食われることで、周囲を全部被害を受けると、春になって最初は芽吹きますが、水分や養分が供給されず、最悪枯れてしまいます。特に果樹やバラなどでは、大切な接ぎ木上部がダメになり、台木のみが生き残ってひこばえが発生。このことを知らずに育て、後でがっかりすることもあります。

 

 

 そこでよく見かける対策として、金網を幹に巻く方法があります。しかし網の合わせ目や網の上下と幹の間に隙間ができて、そこからネズミ(主にエゾヤチネズミ)が侵入することがあるので注意しましょう。2年くらいは大丈夫ですが、それ以上網を放置していると、肥大した幹が食い込んで手遅れになることもあります。点検して巻き直して下さい。

 

 皆さんにお勧めする方法は・・・

 

エゾシカに食害を受けた幹(左)と肥料袋を巻いたエゾヤマザクラ(右)

 

 肥料、園芸用土の入っていたポリエチレン製の空き袋やビニール、または防風ネットを幹や枝に巻き付ける方法です。袋の場合は底を残して上と左右を切って短冊状にすると、背丈のある木やツルにも有効です。心配ご無用!絶対にかじられません。ただし薄いものは裂けやすいので使わないのが無難でしょう。(生産現場では安価なので重宝していた方法で、客先にも推奨し、喜ばれていました。美観を気にする方は無彩色系の袋を用意して下さい。)

 

 

 下図のように、融雪期にはベッドの立ち上がりの元、溝の底、繁茂した草の株もとに隙間や空洞が出来るので、足で踏み固めるか、除雪をしてネズミの行き来を防ぎましょう。彼らはキツネやカラスなどの天敵に身を晒すのを恐れるからです。

 

 

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木々を越冬させる(1)

 今年は今のところ気温の高い日があり、雪は融けてしまいました。厳寒・少雪の安平町ではよくあることなので驚きませんが、先日は最低気温がマイナス20度、数日前の最高気温がプラス9度で落差があり過ぎ。そんな訳で40年近く植物の種類、養育年数を見極めながら、越冬させる処置の種類とタイミングを計ってきました。

 

 特に翌年出荷を控えた苗、厳寒にやや弱いものは気を使います。数量が多いので1本1本冬囲いをしなければならないような種類は、はじめから生産対象外。最もよく行う方法は苗を倒す「仮植(かしょく)」で、現場では「伏せ込み」ともいっています。しかしあまり早い時期に伏せるとネズミの巣になるので、土壌凍結するころまで作業を待ちます。このころになるとネズミも落ち着き先を決めているので安心。知恵比べです。

 

越冬に問題ないとした種類は、単に伏せただけにしています

 

 しかしこの方法だけでは心配な種類と幼齢苗は、寒冷紗などをかけておきます。防風、春先の脱水防止に効果的で、未処置区との比較も行ってきましたが、枯損率、枯れ込み深さともに差が出ることが多いようです。ただ多雪地域ではネズミ対策を施さないと大変なことになるのでタイミングに気をつけて下さい。安平町の場合、例年は11月下旬〜12月上旬ですが、今年は暖かい日が多く、12月中旬にずれこんでいます。(いずれも来春までの預かり品なので責任重大)

 

寒冷紗を一枚掛けした苗。種類・状況によっては防風ネットを2枚掛けする場合もあります。

論より証拠!相当使い込んだので継ぎ当てが痛々しいですね(笑)

 

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