今から数十年前のこと
入社して1ヶ月間の研修を終え、
同期の仲間は本社、全国の支店、工場に配属されました。
私は本社勤務を命ぜられたのですが、都会と人ごみは苦手。
そこで、ダメもと
メーカーなのだから基本を身につけたいと言って工場勤務を懇願。
数日後、「3年を目処に戻ってきてもらう」という条件で許可されたのです。
(今のご時世だと、言うこと聞けないのならもう来なくていいよ〜だったかも)
後で思えば、この懇願が人生の転機だったかもしれません。
当時、この会社はアルミニウムの機械加工とスチールの連続成形が主力でしたが、
希望通りアルミニウムの表面処理部門へ配属されました。
数ヶ月経ったある日、処理ラインを見ていて、
「こういう方法で改善できるのでは」と思い浮かぶ。
翌日すぐに本社から開発トップがやってきて
「こ、これこそコロンブスの卵だ!」
実は、入社して間もない研修のとき、この上司が笑みを浮かべ
「君たちにノーベル賞は期待していない。まずはこつこつとコロンブスの卵を産みなさい。」
「答えを聞いてから、なんだそれなら私にもわかる、そうだよね〜という人が多い。
答えやヒントを聞かないと気がつかないから、コロンブスの卵というのです。」
「君たちは卵の重さがわかる人間(技術者)になりなさい。」
このときさらに感動したのは、
決して業績、生産性や技術力をアップさせよなど野暮な言葉がなかったことです。
(つづく)